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アバター(3D上映・字幕版) [洋画レビュー]

Avatar-Teaser-Poster.jpg「アバター」(監督:ジェームズ・キャメロン)

公開日に観に行ったが、やっぱり吹替版は大人気だったんで、3Dの字幕版を観て来た。

22世紀、人類は他の太陽系の衛星パンドラにて、独特の鉱物アンオブタニウムを発見。宙に浮かぶその鉱物は大変な価値があり、資本の論理によってパンドラには大規模な資源採掘チームが送られた。
しかしパンドラは人類にとって恐ろしい環境であった。大気は地球人にとって猛毒の上、地上をおおう密林の中では独特の生態系が発達しており、凶暴な肉食獣がうようよしていた。
そして、最も厄介な敵、先住民のナヴィ族がいた。彼らは決して地球の文化を受け入れようとはせず、敵対的な関係が続いていた。更に厄介だったのは、アンオブタニウムの鉱脈がナヴィ族の村の真下にある事だった。最悪、力ずくでも彼らを立ち退かせなければ、この計画自体が頓挫してしまうのだ。
そんな状況の中、地球から6年間のコールドスリープの果てにパンドラにに降り立ったのはジェイク(サム・ワーシントン)だった。ジェイクは、不慮の事故で死亡した科学者だった兄の代わりにパンドラで行われている“アバター・プロジェクト”に参加する為に雇われた、車椅子生活を送る元海兵隊員だった。
“アバター”は、地球人とナヴィのDNAを掛け合わせ作られた、見た目はナヴィそのものの精神の入れ物。ナヴィの肉体を地球人が操ることで、ナヴィに溶け込み、立ち退きの為の交渉を行おうと言うのだ。ジェイクが操るのは、彼の兄がDNAを提供して作られたアバター。兄と共通のDNAを持つジェイクは、高い投資によって作られたアバターを無駄にしないために雇われたのだった。着任早々、科学者のリーダー、グレイス博士(シガニー・ウィーバー)と、保安責任者のクオリッチ大佐(スティーブン・ラング)、及び採掘全体の責任者パーカー(ジョヴァンニ・リビシ)との対立を目の当たりにするジェイク。どうやら採掘チームは微妙な力関係に支配されているようだった。
アバターとのリンクに成功し、久しぶりに自分の足で歩く感覚を味わったジェイクは、アバターでの初めての任務に出る。それは地球人対ナヴィ族の惑星をかけた戦いへと繋がっていく、ほんの第一歩であった・・・・。

いや、スゴい作品である。なにがスゴいって、一言では言い表せない(なんじゃそりゃ)。
多分、このスゴさは、この作品が『ジェームズ・キャメロンそのもの』と言えるようなものに仕上がっているからではないだろうか。とにかく画面の隅々まで気を使ったものに仕上がっている。その情報量の多さも大変なものだが、画面が繁雑にならないように配慮されているのもまたすばらしい。(その技術的側面は下で論じる。)
ジェームズ・キャメロンの作品は大体そうだが、画面にしろ物語にしろ、かなり緻密に計算して組み立てている。画面全体がほとんどCGと化した今作では、その傾向が顕著に見て取れる。だから漫然と見ていてもスゴさが伝わってくるのだ。

実はこの作品、個々のストーリーやアイデアはそれほどオリジナリティのあるものではない。原住民を蹂躙して植民地化しようとする根幹の物語を始め、青い肌のエイリアン、馬のように乗り回す翼竜、自分の種族を裏切る主人公、飛行石、意志を持つ星・・・個々の設定を取り出してみれば、SFファンならばお馴染みの設定ばかりだ。古典的すぎて普通に映像化してもとてもリアリティのあるものには出来そうもない。(予告編を見て、ワタシが「近年のスター・ウォーズチックな映像」と評した通り。)しかしこの作品ではそれらが見事に結びついて、映画を通して観れば、とてもリアルに感じられるものになっている。これは前述したようにキャメロンが緻密に計算したディテールが生きている事、そしてそれらをコーディネートした時に、全体から受ける印象がしっかりと一つにまとまっている事が生み出した“リアル”なのだと思う。

もう一つは物語の語り口。根幹のストーリーは上記の通り古典的だったり予定調和だったりするが、それはエンタテインメント作品では絶対的な問題ではない。それを如何に新鮮なものとして提示できるか、が作品の成否を握る訳だ。
今回は非常に魅力的なパンドラという世界で物語が展開する事が、物語自体を魅力的に見せていると言っていいだろう。とにかくこの世界観は本当に素晴らしい。SFファンでこの世界に魅力を感じない人はいないと思う。上記のようにディテールに似たものを感じる部分があったとしても、全体を映像として見た時、そんな事は大した問題ではなくなってしまう。

技術的な話になるが、「アバター」が3D映画として優れているのは、この素晴らしい世界観を“体験”して欲しいという監督の思いを伝える為に使われている為だ。だから今作では映像は『飛び出し』て来ない。どちらかと言うと、遠景を自然に目線に収める為に、遠くにあるように見せる、というような使われ方が中心だ。
何故そんな事をしなければならないかというと、2D映像の場合、近景(主にキャラクター)を際立たせる為には、遠景をボカして撮影する。当然ピントがあったところに観客の注意が引かれるため、キャラクターに視線は集中し、話が伝わりやすくなる。しかしこの場合の問題点は、遠景がボケればボケる程視線の操作はし易いが、そうなれば遠景に何が写っているのかよく分からなくなってしまう事だ。
キャメロン監督は自分の作り出した世界をぜひ観客により深く伝えたい。しかし話が追い辛くなってしまっては本末転倒だ。その矛盾を解決する為に3D映画としたのだ。お陰で遠景を極端なピンぼけにせずともキャラクターは強調され、観客が混乱する事もない。しかし、観客の視線が漂った先の美しい遠景は、何が写っているのかしっかりと見えるようになっているという寸法だ。
これこそが3D映画革命と言われている今作の映像としての一番のキモである。お陰で観る方としては、漫然と見入っていると3D映画だという事すら忘れてしまう。見終わった後、もしかしたら2Dと何が違ったの?という感想を持つ人もいるかもしれない。それほどに3Dに対して主張はない。だが今作の魅力(特にパンドラの世界観)は3D映画でなければ味わい尽くせないものなのだ。

もう一つ言っておきたいのは今作のテーマである。時代でもあろうが、環境問題というテーマがかなりハッキリと語られる。具体的には『ガイア理論』の明確な提示である。地球ではガイア理論は仮設というか、見なし理論として捉えられているが、パンドラではそれが目に見える姿で表現されている。ナヴィは馬とも、鳥(翼竜)とも、そして植物とも“絆=意思の疎通”を持つ事が出来る生物として描かれる。そして、その“絆”は、同じ形ではないにせよ地球にも存在しているのだ。ガイア理論が論じているように。そしてそれを踏みにじっているのは、資本の論理であり、戦争行為であると断じているのである。
ナヴィが明らかにアフリカンをモチーフとして描かれているのも、同様の考え方があると思われる。

ただ、このような重いテーマを正面から描いてはいるが、「アバター」はあくまでもエンタテインメント作品である。アクションあり、ロマンスあり、戦争も美しい風景もガジェットもクリーチャーも全てぶち込まれたおもちゃ箱のような作品だ。肩肘張らずにたかぶる期待を胸に秘めて是非劇場へ!その期待を外す事は万に一つもないと言っておこうw

最後にもう一つw 当ブログ的には外せないヒロインの話題(爆)。
ゾーイ・サルダナをモーションキャプチャして生まれたネイティリだが、これは今流行りの(しかも超が付く程の)ツンデレキャラである。エラく鮮やかな青い肌(こういうキャラ、よく戦隊モノの敵にいるよね爆)を持ち、白目はなんと黄色、身長は3m近くある。こんなキャラが魅力的に見える訳ないだろ!と思ってるのになんと最後は異様に可愛く見えるオソロシさ(爆)。これぞ一番のキャメロン・マジック!それだけ物語に入り込んで観る事ができてる証拠であり、額面通りなら決してリアリティを感じられないキャラや世界観を、ものの見事にリアルに感じさせてる事で手腕のスゴさが実感出来る。

さて、長々と書いてはみたが・・・・この作品のスゴさは少しでも伝わっただろうかw


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アバター 公式完全ガイド

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