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人狼 JIN-ROH [邦画レビュー]

「人狼 JIN-ROH」(監督:沖浦啓之

第二次世界大戦以降、現実とは違う流れを持ったパラレルワールドの戦後、高度経済成長を背景に貧富の差が激しくなり、世情は不安定に。特に暴徒が先鋭化し〈セクト〉と名乗る反政府ゲリラと化す中、警察、自衛隊に続く、第3の抑止力として首都警が設立。特にその一部門である通称特機隊は、犯罪者に対して重武装で立ち向かう特別な組織であった。
特機隊に所属する伏一貴は、ある晩、暴徒鎮圧の為に出動した地下下水道の中で、セクトで爆弾運びをしている少女と遭遇。撃ち殺す事が出来なかった伏は、少女が自爆するのを防げず、その爆発によって都心は停電になってしまう。この失態によって、伏は首都警養成校に戻されてしまう。そして友人で首都警公安部の辺見から情報を得て少女の墓を訪ねた先で、少女の姉と名乗る圭と出会う。お互いに孤独の影を見いだした伏と圭は密会を重ねるが、その裏で政治的な工作が動いていた・・・・。

ハードボイルドである。主人公の伏はほとんど表情を変えないし、ボディランゲージにも現れる事はない。しかし暴力が横行する世相の中で、政治的な交渉が蠢き、友人の辺見はそれに乗っかってうまく立ち回ろうとするのと正反対に、あくまで目の前のやるべきと思った事をやって行く伏の純粋さ。そしてそれに魅かれて行く圭。化かし化かされ、表面的であったはずの感情がホンモノになって行く過程は、分かっているけれども情感的で、切なくならずにはいられない。

映像的には、今回ネットで調べてみて初めて知ったのだが、『最期のハイクオリティセルアニメ』と呼ばれているそうな。素人には余り関係ない話ではあるが、今や劇場アニメのようにクオリティを必要とするアニメは、ほとんどがCGである。といっても3DCGではない。パソコンに平面の絵を取り込んで、パソコン上で色をつけたり、背景と合成したりする訳だ。昔ながらのセルに原画を転写して、裏から色を塗るなんて事はほとんどやっていない。安く作る為に東南アジアなどで彩色する場合は別だが。この作品は、監督が手描きのセルにこだわったらしく、上記のような呼び名が付けられたらしい。
手描きだからどうだ、という事は、今見て感ずる事はワタシには特になかったが、影落ちを余り使わない平面な絵柄がちょっと興味深かった。彩色も濁色中心でグレイッシュだ。その辺りがハードボイルドな世界にうまくマッチし、更にはプロテクト・ギアの真っ赤な目が作品の中で毒々しいまでに目立つのを助けていた。

この作品は、押井監督のいわゆる「ケルベロス・シリーズ」の流れの作品なのだが、これ単独で見ても充分面白いです。
 
 

ケルベロス・シリーズは、見たいと思ってもなかなか見られてないんですが、他作品はどうなんでしょうか。何となくつまらなそうな気もしてるんですが(爆)。

人狼 JIN-ROH

人狼 JIN-ROH

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2002/02/25
  • メディア: DVD


 
こちらのDVD-BOXにシリーズの残りの2作品「紅い眼鏡」「ケルベロス 地獄の番犬」が入ってます。内容知らずに買うには若干高い(汗)。

押井守シネマ・トリロジー 初期実写作品集

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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2003/02/25
  • メディア: DVD


 
マニア的には出渕裕がデザインした、このプロテクト・ギアの本物が動く姿が見たかったんですね。はい、ワタシも同様です(爆)w

Real Action Heroes 特殊強化服プロテクトギア・ケルベロス01 都々目紅一Ver. RAH-310

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  • 出版社/メーカー: メディコム・トイ
  • メディア: おもちゃ&ホビー


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