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NAKATANI [画集・写真集レビュー]

NAKATANI NAKATANI MIKI

中谷美紀のセルフプロデュースによる第2写真集である。
ま、だいたいセルフプロデュースとなると、世の男たちの願望を満たすような写真集にはならない訳で、この写真集も概ねその通りである。ただ、これまた当然ながら、ナカタニさんのファンにとってはまた違う見所があるわけで。

少なくとも当時の中谷美紀(24)は、自分の事を外の世界に対してどう見せたらいいのか、という事を模索する人だったのだろう。この写真集に関しても、セルフプロデュースという部分に結構こだわりを感じるのだ。特に、それぞれの写真の中の彼女の表情に関しては、一貫した選定基準を感じる。その表情は、決して一つの感情を表現しない。笑っていても悲しみを。悲しげな中に強い意志を。無表情な顔の中に楽しさを。いつも必ず複数の感情がその表情の上には漂い、なにがしかのニュアンスを表現する。
写真の中では不用意さを表現していても、そこには隙はないのだ。そこにあるのは『一定の緊張感』という、全体を貫くトーン。中谷美紀は見ている側に対して挑戦して来る。『私に向かって、もう一歩踏み込めるのか?』と。そして、彼女のアップの顔写真が、踏み込む事を許容するかのように並びはするのだが、その実、表情は全く違う事を表現している。それは拒絶ですらなく、こちらの存在を関知していないかのような視線。外界に対する、決して縮まらない一定の距離感。理性的な、醒めた眼光・・・・。

シチュエーションが様々に変わり、自然の中に、街の中に、部屋に入っても、写真の魅力の一方はクルクルと変わって、雄大な景色、巨大なビル、美しい空、生活感漂うキッチンと様々な価値観を見ている側に提示して来るが、もう一方の魅力はひと時もぶれる事がない。その表情によって、見ている側に「何」と具体的に言い表せないカタマリを、中谷美紀という表現者はグイグイと押し付けて来る。その圧力は、もしかしたら今のナカタニさんとは違うものかもしれない、と思う。それが24歳という「時」の持つ力強さなんじゃないか。

見た者を突き飛ばすような写真の羅列のもつストーリーは、それはそれは強烈であった。

NAKATANI―中谷美紀写真集

NAKATANI―中谷美紀写真集

  • 作者: 田島 一成
  • 出版社/メーカー: ロッキングオン
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 大型本


タグ:中谷美紀
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tomoart

>レイカさん
nice!ありがとうございます。古めのレビューですが・・・・(笑)。自分で今読むと、ちょっと入り過ぎてて恥ずかしい文章ですねぇ(汗)。夜中に書いたラブレターみたい(爆)。
by tomoart (2011-06-15 13:35) 

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