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バットマン・リターンズ [洋画レビュー]

Batman_returns_poster2.jpg「バットマン・リターンズ」(監督:ティム・バートン)

ワタシの大好きな監督であるディム・バートン、その中でも一番のお気に入りの作品。

クリスマスが迫るゴッサムシティ。しかしサーカスギャング団がのさばり、人々を恐怖に陥れていた。ところがギャング団のボスであるペンギン(ダニー・デヴィート)は悲劇の奇形児を装い、人々の関心を集める。実業家シュレック(クリストファー・ウォーケン)はそのペンギンをゴッサムの市長に押し上げようと画策するのだった。一方シュレックの使えない秘書セリーナ(ミシェル・ファイファー)は秘密に触れたことでシュレック本人にビルから突き落とされてしまう。死んだと思われたセリーナだったが、猫たちの不思議な力で復活を果たす。復讐に燃えるキャットウーマンとして…

現状までのバートンの映画で、一番「バートンらしさ」がほとばしっている映画。バートンも ヘレナ・ボナム・カーター と人並みのシアワセを手に入れてしまった現在、この手の傑作は既にバートンにも望み薄。(ビッグフィッシュ的な傑作はあり得るかもしれないが・・・)という事で私の中では至高の名作として心に刻まれている。

この作品を見ると、バットマンというヒーローのキャラクターがいかに屈折しているかがよくわかる。何しろ劇中の描写が、キャットウーマンやペンギンと完全に同列なのだ。既に扱いはヒーローではなく、一介の変人だ。このフリークスの(超いびつな)三角関係から、えも言われぬ情感漂うドラマが展開される。三者三様に持つ悲哀・コンプレックス。そして歪んだ愛情。

バートン自身、GOTH野郎で超の付くヲタク。内気で人付き合いが下手という、日本人から見ると尚更、米国人の中では異色な感じがしてしまう性格。それが見事に劇中のフリークスに投影されているのだろう。バートンが、三人のキャラクターに注ぐ限りない愛情は多分、彼らがバートン自身だからなのだろうと思う。

フリークスの悲しみは、三者全て他から与えられてしまったもの。ペンギンは両親に。キャットウーマンはマックスに。そしてバットマンは若き日のジョーカーにだ。だからこそその悲しみに対して、見ている僕たちは心底感情移入して心を揺さぶられてしまうのだろう。
その一方で、ある意味最も一般人のマックスが本当の悪役として描かれる。この対比がすごい。バートンの魔法にかかった我々は、一般人に対する「フリークス」にこそ自分たちを投影せざるを得ない状況になっている訳だ。

大団円、それぞれに悲劇に向かって突っ走らざるを得ないバットマン、キャットウーマン、そしてペンギン。それぞれの悲哀たるや!こんなに心にしみ入る情感が描かれたヒーロー映画はこの先一生出てこない!と言い切ってしまおうw


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一作目もバートン作品ですから悪くない…けど、リターンズには大きく負けるw
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コメント 4

coco030705

さすが、第一弾目からいい記事ですね。
またバットマン・シリーズを振り返りたくなりますね。
これからもレビューを楽しみにしています。
by coco030705 (2008-05-29 18:40) 

tomoart

>coco030705さん
こんにちは。nice!&コメントありがとうございます。
お褒めいただいて恐縮です(汗)。実際のところはこの駄文、mixiのレビューに書き込んだ文章をリライトしているために、まとまり無く感想の羅列になっているのがちょっとどうなの〜〜って感じなんですけどね(爆)。
でも自分のとは言え、レビュー読むと見返したくなるのは確かですね(笑)。バートンの監督した「バットマン」「〜リターンズ」だけですけどw 未だにバットマン役はマイケル・キートンが一番良かったと思っているtomoart。「〜ビギンズ」のベールもいいけど、やっぱり飄々とした余裕のカマし方、世俗離れした雰囲気など、坊ちゃんであり大富豪であり、そして正義の味方であるという歪んだ精神の持ち主をこれほど上手く表現出来た人はいないんじゃないでしょうか・・・・。

しまった、また文章が長くなった(汗)。これからもよろしくお願いします
m(_ _:)m
by tomoart (2008-05-30 08:45) 

びっけ

はじめまして。
先日は ご訪問いただき、ありがとうございました。
三人のフリークの哀しさと、一般人(極悪人だけれど(^^;)のマックスの対比、なるほど、なるほど・・・と思いました。
私からもトラバさせてくださいませ!
by びっけ (2009-04-15 20:49) 

tomoart

>びっけさん
こんばんは。nice!&コメントありがとうございます。
ジャンルトップでびっけさんの「バットマン・リターンズ」の記事をたまたま見かけてお邪魔しましたw よろしければまたおいで下さいませ〜w
by tomoart (2009-04-16 03:17) 

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